市指定研究発表会 裾野市立西小学校
- 公開日
- 2016/11/07
- 更新日
- 2016/11/07
研修会等報告
10月28日(金)午後、肌寒い秋雨の中、多くの参加者の熱気に満ちた平成28年度市指定研究発表会が西小学校で開催されました。
最初に、4年1組住沢孝治教諭の算数「面積」と、6年1組石川峰(たかし)教諭の社会「世界に歩み出した日本」の公開授業が行われました。
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社会科石川峰教諭の「世界に歩み出した日本」の授業ですが、まず、指導案中の「単元構想図」(添付資料参照P5)に注目しました。単元全体で一つの問いが貫かれ、その中で本時の授業が構想されています。子どもたちが前時までにどのような学びをしてきて、本時の後どのような学びにつながっていくのか、一目瞭然に示されています。多くの先生方の参考になるものと思います。
本時の授業では、学習課題が成立するまでが早い。開始から3分で、「(人々の暮らしはよくなっているはずなのに、)なぜ、デモが起こったのか」の問いが成立しました。学習課題の成立が早いと、子どもたちが主体的に追究する時間が保証されます。石川先生は、子どもたちに3つの資料と吹き出しの紙を配布し、「資料を見て、当時の人々の気持ちを記入しよう」と投げかけました。「資料を見てどんなことがわかるか」ではなく、子どもたち自身を歴史の中に入れて当時の人々の営みに共感させていく手だてです。子どもたちは、班の中で資料を分担したり、互いの読み取りを確認したりしながら吹き出しに人々の思い(自分の思いでもあります)を書き込み、それを一枚の紙にグルーピングしていきます。先生の指示なしでできるところに日頃の学び方の指導が見えてきます。
その後、各班から吹き出しに書かれた言葉を出し合い、それを元に、デモ行進の資料とつなげてまとめてみようと投げかけます。
子どもたちは、当時の人々の思いをふまえながら、自分の言葉で次々と繋げて発表していきました。これらの発言は、本時の目標である「日本の国際的地位や国民の生活が向上してきた一方で、国内に様々な社会問題が発生して、それを改善する願いが国民からわき起こってきたことを理解する」ことを、当時の国民の思いに共感しながら理解できたのだと思います。
また、発表者の方へ体を向けて、しっかりと発言を聴いている学級の子どもたちの姿から、「聴く」ことに重点を置く指導の定着がわかります。
西小では、「振り返り」の時間をしっかり確保するために、40分で授業を計画しているそうです。1時間でゴールまで行くことの大切さを実感しました。
その上で、さらに「みんなはこうした国民の行動をどう思うかな?」とか「政府はどうしたらよいだろう?」とか問うと、この子供たちならどんな議論を展開するのかな、と楽しみになってしまいました。
10/28西小 指定研究指導案(社会)
(↑ここから社会の指導案を閲覧できます)
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算数住沢孝治教諭の「面積」の授業
単元名は面積(本時2/11)学習活動は
1 図形の広さを比べる方法を見つけよう。
2 同じ大きさですき間なくうめるますを作って数えると、広さを比べることができる。
提示された四角形は4種類です。
(詳細は、下記の指導案をご覧ください)
住沢先生が予想された子どもたちの調べ方は、Ⓐこの前みたいに図形を切って重ねてみよう。Ⓑ友達の消しゴムを借りて何個置けるか並べてみよう。Ⓒ大体の○を描いて何個かけるか調べてみたい。Ⓓ鉛筆が何本立つか調べてみたい。Ⓔます目を適当に描いて何個ます目ができるか調べればできそうだⒻます目を作って数えたら分かるかもしれない。
四つの四角形が描かれたプリントが配られました。早速子どもたちの活動に入りました。「先生、ハサミで切っていいですか?」と質問が出されると「いいですよ」と言う返事に、約半数位の子どもたちが切り取りはじめました。(予想Ⓐ)そしてニ枚を重ね合わせて「こっちが大きい(広いの意味)」三枚の横を合わせて「こうかな?」と前時で学習した四角形の周囲を直接比較で比べています。(子どもたちは苦戦していますが前時に続く自然な学びだと思われます)子どもたちは追求を止めません。しかし、どうも比べられないようです。すると先生が前時のまとめの部分を確認します。「そうだった!」と何人かの子どもたちが気づき次の追求へと入っていきます。次に多かった子どもたちはノートのます目を利用して四つの図形を写しとりました。(予想Ⓔ)「同じ広さの場合はどう書きますか?」先生の助言から“=”(い・え)を使っていました。また四角形の中に自分で考えた同じ大きさの○を描くなど工夫していました。(1センチ四方の○のようです)さらに横の長い順に四つの図形を描き長い部分を切り取り次に長い図形に移動させていました。矢印が何本も引かれていました。何とかして大小関係を導き出そうとする姿が見られました。とても粘り強く考えを続けていました。こうした子どもたちの多様な考えを引き出そうとする先生の授業づくりが見てとれました。
住沢先生からは45分で「つけたい力」の達成まではいかなかった。最初に「はさみで・・・」と言ったことが予想外だった。子どもたちの「自分の考えを深めさせたい、時間がほしかった」と述べられましたが“前時からの続きで何か考えられないか?”という子どもらしい発想と追求する姿が見られたと思われます。そして研修副題「聴いて、考え、つなげる」この姿が授業のいたるところで見られました。特に“聴く”ことの重要性を日々実践されているという印象は参観者の誰もが強く印象に残ったのではないでしょうか。
10/28西小 指定研究指導案(算数)
(↑算数の指導案を閲覧できます)
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全体会は体育館で行われ、風間忠純教育長、冨田穣二校長先生からご挨拶がありました。冨田校長は、現在の研究のスタートが三年前、静岡県の教育界を揺るがせた学力問題の時に視察した秋田県の小学校の参観後の思いにあり、それが現在の研究テーマになっていることを話されました。
その後、本田清香研修主任より西小学校の今年度までの取り組みについての研究発表があり、社会と算数のグループに分かれての分散会がもたれました。分散会では、さらにいくつかの小グループに分かれ、子どものあらわれを元に若い先生もベテランの先生も一緒になって付箋を貼りながら活発に意見を交わし合いました。各グループの発表では西小学校の若い先生方が報告をし、西小が堅実に、そして全員が参画する研修風景の一端を垣間見ることができました。