訪問日記

森の道標 授業紹介(西中・2年理科)気象通報から天気図を描く

公開日
2018/02/15
更新日
2018/02/15

訪問研修「森の道標」

 平成30年2月13日 裾野西中学校 2A理科 玉置絵梨 教諭 
                      H30.2.15 小泉隆嗣

 「NHK第2放送の気象通報から天気図を作り上げて、その天気図を基に授業を構成する」という、玉置先生にとっては初の試みでした。今では気象通報から天気図を作成するなんて「古典的」と笑われそうですが、冬山登山者の間では常識です。スマホも便利ですがバッテリーが厳冬期には機能しません。冬山での情報源はやはり「ラジオの気象通報」なのです。
 事前にこの教材を紹介したその時から、玉置先生の「一人教材研究」が始まったようです。初挑戦ですから「準備万端」で臨まないと、といった緊張感もあったと思います。自分で実際に試して「これは生徒たちにとっては難しいから時間がかかる」と感じた玉置先生は、本時の前に「気象通報のデータを記録する作業」を組み込んでいました。
 参観前に扱った天気図を見てびっくり、この時期では一番難しい天気図なのです。これが、冬型の天気図だったら簡単に等圧線が引けるのにと、玉置先生が試した日の天気を恨みました。それでも、生徒たちは「天気図を描く」なんて想定外だったらしく、誰の天気図にも所狭しと気象データと漁業気象データが書き込まれていました。
 本時の目標は、一言で言うなら「低気圧や高気圧と天気の関係に気づく」ことです。低気圧の所では「雨」や「雪」など天気が悪い、高気圧の所では「晴れ」「快晴」「曇り」など天気が良いと言うことに、自分の作った天気図から気づくかどうかが勝負の鍵でした。衛星写真を使った試みも功を奏し、生徒たちはいとも簡単に「低気圧→天気が悪い、高気圧→天気が良い」ことに気がつきました。これで勝負ありです。あとは先生と生徒たちの軽やかなやり取りを続けながら、ここぞとばかりに玉置先生の気象用語の解説や説明が入ってきます。何より一番すごいのは、多様な生徒たちからの発言に惑わされることなく「全くぶれず」に、科学的な追及を行っていた彼女の授業力です。生徒たちはもう玉置先生の手の上で転がされている状態です。ですが、誰一人として不満顔の生徒はいません。こんな信頼関係の中で授業が出来るなんて素敵なことです。生徒たちの活動(天気図の中に等圧線を引く)が中心の一見静かな落ち着いた授業でしたが、生徒たち一人一人の頭の中では猛烈な思考が働いていることが、その作業への熱心さから見て取れました。玉置先生の教育論文が、裾野市の優秀賞に輝くというおまけまでついて、自分が玉置先生と同じ歳だった頃の授業が恥ずかしくなりました。科学で筋を通した、とても落ち着いた授業風景は、私の忘れられない思い出の1つになりました。
文責:学びの森 指導員 小泉隆嗣

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