訪問日記

自然の散歩道(立夏の偕楽園5/16)

公開日
2017/05/18
更新日
2017/05/18

自然散歩

 前日は少々肌寒い雨、黄瀬川の流れもまだ冷たそうです。一転今日はぽかぽか陽気、立夏を過ぎたというのに暑かったり寒かったりの繰り返しで、そりゃ風邪もひきます。体調は今一つすっきりしませんが、眠気を押さえようと久しぶりの偕楽園を散歩しました。
 駐車場に車はあるのですが園内には誰もいません。くたびれたハルジオンの花とうるさいヒヨドリの鳴き声ばかりが目立ちます。奥に進むと、イソヒヨドリの華麗な歌声が聞こえてきました。名前の通り“磯”でよく見かけるからイソヒヨドリなのに、裾野まで何をしに来たのでしょうか。学びの森は、近くに黄瀬川の岩場がありますからよく見かけますし、鳴き声も聞こえてきます。そう言えば、十年前あたりからどこでもよく見かけるようになりました。“磯”は卒業したのでしょうか。
 それにしてもヒヨドリの鳴き声はうるさくてかないません。こっちまで暑苦しくなってきます。偕楽園を始め、どこの公園でも大好物のサクランボが真っ盛りですから、嬉しくて仕方がないのかもしれませんが、もう少し優しい声で鳴いてもらいたいものです。
 春の花々が一通り咲き終わった5月の偕楽園は、もっぱら緑一色です。水辺の植物も濁った流れを隠さんばかりの勢いです。犬の糞を踏まないように春の花々のなれの果てを探してみました。カラスノエンドウは果実が熟れて乾燥し真っ黒です。タネツケバナは種子を飛ばしきっています。ノビルは不格好な実を1つつけて草丈よりさらに高く伸びきっています。梅の実が1つ転がっていました。枝に実が無いのはどなたかが持って行かれたのでしょうか。ヘビイチゴは赤い果実が旨そうですが、旨そうなのは見た目だけで、酸っぱくも甘くもない中途半端な味です。
 奥の滝近くの暗がりにカンアオイを見つけました。葉をどかしてみると花が隠れていました。地味ですが、私はこの花が好きです。徳川家の家紋「フタバアオイ」もこの仲間です。花の細部のつくりで分類するようですが、やっかいなのでしっかり同定したことはありません。写真のカンアオイも正しい和名は不明です。植物の名前にこだわらない私にとって重要なのは「食えるか食えないか」だけ、こいつは毒成分を持っています。
 暗がりの斜面に目をやると、鮮やかなシャガが1輪だけ花を咲かせていました。シャガの花期はすでに終盤、今期はこれが最後かもしれません。
 久しぶりにシュロの雄花を見つけました。黄色に垂れ下がった固まりです。子供の頃、石を投げると叱られたのでシュロの雄花を小分けして投げたことをその臭いとともに思い出しました。最初の反抗期です。懐かしい。
 帰り際、駐車場の隣の芝生広場を振り返ると、黒いツンツンが目に入りました。芝の果実です。よく見ると一面がツンツンだらけです。当たり前です、芝生広場なんですから。でも、行きには目に入りませんでした。大人の目って案外いい加減ですね。それに比べると子どもの目はとても敏感です。自然観察会は子どもたちと一緒で楽しさ倍増です。

             文責:学びの森指導員 小泉隆嗣

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