3月 全校集会「選択」
- 公開日
- 2012/03/02
- 更新日
- 2012/03/02
校長室から
3月 全校集会「選択」 平成24年3月2日
さていよいよ今年度最後の月になりました。体調はどうですか?先週もインフルエンザが蔓延し2A、2Bが学級閉鎖になりましたが、今週もまだ少し欠席者がいますね。マスク、うがい、手洗い等、健康には十分気をつけて下さい。特に3年生は来週本番という人も多いと思います。頑張って下さい。
さてNHKのEテレで日曜夕方6時から「白熱教室」というのをやっていますが、今日は先日見ていて面白いなと感じ、さっそくアマゾンで注文して読んだこの『選択の科学』という本を紹介したいと思います。作者はシーナ・アイエンガーという女性。今43歳でみんなのお母さんぐらいの年代なんだけどあのオバマ大統領の出身校である超名門コロンビア大学の大学院の教授です。でもそれだけでは驚きません。彼女の両親はインドからアメリカに渡り生活を始めました。しかし3歳の時目の病気になり高校のときには視力を失いました。家庭は厳格なシーク教徒で着るものも、食事もすべてが決まっていたそうです。そこで彼女が選んだ研究テーマが「選択」です。
まず驚いたのはアイエンガー教授の両親は、結婚式の日まで相手の顔を知らなかったということです。信じられないけど、いまだに結婚は、親が決めるものであるという国も多いようです。結婚という人生における重要な選択を自分で行っていないのです。みんなはどう思いますか?でも興味深いデータがあります。結婚10年を経過した夫婦を調査したところ、親が決めた取り決め婚のほうが、恋愛結婚をした夫婦よりも幸福度が高かったのです。「あの人なしでいるのは辛い」というような質問項目を点数化し比較したものでですが、恋愛結婚は1年以内は平均70点だったが、10年を超えると40点だったのに対し、取り決め婚の場合は1年後は58点だったがのが10年後は68点だったそうです。おもしろいですね。幸せは選択を行うことでなく、義務を果たすことで得られるとアイエンガーさんは言っていました。選択に対する考え方は民族による傾向の違いがあるようで、アジア系の民族は母親や家族等に左右される傾向があるようです。
こんな話も書いてありました。食料品店の試食コーナーに24種類のジャムと6種類のジャムを並べた場合を比較すると、売り上げは品揃えが少ない方が6倍もあったそうです。選択肢はたくさんあった方が普通はいいですね。でも違うんです。サーティーワンのアイスクリームは種類がたくさんあるけど、みんなは何を選びますか?あんなにあるのにバニラとチョコとイチゴの3種類で売り上げの半分を占めるんだって。面白いね。人間は、選択肢の数があまりにも多くなると、選ぶこと自体をやめてしまうようです。パレートの法則というのがあって、全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出しているという説です。 80:20の法則、ばらつきの法則などとも呼ばれます。自然現象や社会現象は決して平均的ではなく、ばらつきや偏りが存在し、一部が全体に大きな影響を持っていることが多い、たとえば「商品の売上の8割は、全商品銘柄のうちの2割で生み出している」というようなことがあるようです。
さてこんな話もありました。ネズミに「溺れるか泳ぐか」の実験をしたところすぐあきらめるネズミもいて大きな個体差があったそうです。そこで何度か捕まえ、水を浴びせまた逃がすということを何度か繰り返したネズミに同じ実験をした結果、あきらめる気配を見せるネズミはなく平均60時間を超えていたということです。ネズミは逃げることができた経験から、努力すれば報われるということを知っていたことになります。あのネズミでさえそうなのです。
また、動物園の動物は生活条件がよいにもかかわらず野生のアフリカ象は平均寿命56歳に対し、動物園で生まれた象は17歳だそうです。自分で状況をコントロールすることができないことによるストレスが大きく影響しているようです。人間も同じで「自分の力で変えられる」という認識を持つことが大切です。進路の決定について自分で決定することでモチベーションは違ってくるといえます。
今、みんなはあらゆる選択を自分で行います。自分で決めることはとても大切です。だからこそ責任があります。目的に向かって努力し、納得のいく選択をしたいですね。